アール・ヌーヴォーの従業員戦没者慰霊碑・フランス・パリのデパートギャラリー・ラファイエット
フランス・パリのデパートギャラリー・ラファイエット百貨店の経営陣のオフィスは、6階にあります。最高幹部の部屋は、最上階にあると思っていたのですが、フランスの経営者は、そのようなことには、こだわってないのか、一般のアパルトマンのように、「最上階=屋根裏=使用人の部屋=雇い主の部屋ではない」という図式があるからなのか、それとも別の理由によるものなのかは、最高幹部ではなく、フランス人でもない私には知る由もありません。

最上階には、国際部や人事部などがあるのですが、エレベータロビーには、創業者の記念碑や私の胸像(ラファイエット将軍の)などがあります。仕事の関係上、このロビーには毎日のように出入りしていますが、以前からそのうちの一つの記念碑が気になっていました。

ラファイエット慰霊碑


先日、エレベータを待つ間、よく見てみると、各世界大戦で亡くなった従業員の冥福を祈る慰霊碑でした。枝葉の彫刻で抱かれた大理石に戦没者名が刻まれており、「祖国のために、その命を捧げた」と簡潔な文が添えてありました。

1893年創業のフランスの老舗百貨店だけあって、1914〜1918年の第一次世界大戦と1939年〜1945年の第二次世界大戦の両大戦を通しての従業員の戦没者数も決して少なくなかったことがこの慰霊碑でわかりました。300人はくだりません。

ラファイエット慰霊碑2 ラファイエット慰霊碑3


慰霊碑の枝葉の彫刻は、ギャラリー・ラファイエット百貨店本館のクーポールを装飾しているアール・ヌーボォー様式のものに似ています。
ちなみにクーポール自体は、1912年建造の文化財に指定されているネオビザンチン様式で、その階下の手すりを装飾している木の葉をモチ−フにした彫刻は、アール・ヌーヴォー・ナンシー派のルイ・マジョレルが装飾を担当しています。

戦地からパリギャラリー・ラファイエットの美しいクーポールの下に二度と帰ることのなかった従業員達がいたということを、この慰霊碑によって思いをめぐらせることが出来ます。

ヨーロッパ一番の売場面積と売上を誇る老舗百貨店には、常に新人クリエータを発掘し、パリのモードの発信地であり続けようとする華やかな面とともに、平和な時代の礎を築いてくれた先輩達への感謝と畏敬の念が、第一次大戦から90年近くたった今でも息づいているように思えました。

ラファイエットクーポール
ギャラリー・ラファイエット百貨店本館クーポール

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